嬬恋村日記2
おねえさんは花摘みに
今日は、久しぶりに集合がかかった日です。 外は小雨。 これは勝負服で行かないと!
嬬恋村の集会に着ていく勝負服とは、カッパ、長靴、軍手が必需品。カッパの下には、決して寒くないだけの衣服を着用するのが肝心です。 ここでいう勝負服とは、どんな嵐にも、寒さにも、汚れにも勝てる、実用第一の服を言います。
パリ・ダカールラリーのコースを1/1000くらいレベルダウンさせたような悪路を通り、標高1300メートルの集合場所に向かいます。 そこには、既に勝負服を着込んだたくさんの人達が。
彼らは、観光協会の会員の人達です。 先日終わったシャクナゲ園の整備をするため、集まって来ていたのでした。
ここに集まった人達はほとんどが、ペンションや、貸別荘の経営者。 そのため、本名よりも、屋号で呼び合う事が多いのです。 「モーツァルトさん」とか、「きららさん」とか・・・。
今は慣れましたが、移住したはじめの頃は、なんだかパソコンのオフ会に来ちゃったみたいだなぁ、と思ったものです。 「森の小鳥さ〜ん」 なんて呼ばれて返事をした人が、ごっつい体格のいいおじさんだったりする例も多々ありまして、私は一人で笑いをかみしめていた事もありました。
しかし、私も人の事は言えない。 いつもお世話になっている観光協会の方は、私の事を、 「はい、ブルーベリーちゃん! これ持ってって!」 なんて呼ぶこともあるのです。
その声に振り向いた人が、カッパに長靴をはいて、よれよれになったブルーベリーちゃん(私)を見て、 「これがブルーベリーちゃんかよっ!!!」 と、心の叫びをあげた事だって、たくさんあったに違いないのですから。
今日の作業内容は、男性はテント撤収と草刈り、女性は「お花摘み」との事でした。 「お花摘み」と言えば、登山用語で「トイレに行く」(男性では「キジ撃ち」と言う)という意味ですが、ここでは、咲き終わったシャクナゲの花を、摘み取る作業を言います。
「こうやって、花のかたまりごと、取ってください」 と、教えられてやってみます。 枯れた花の下に、ぽきっと折れる関節のような箇所があって、そこで花を摘み取ります。すると、新しい芽が育って、来年、花が良く咲くのだそうです。 枯れた花の下には、既に小さい芽が顔をだしているものもあって、あー、なんだか生命の循環、と思うのでした。
枯れた花がたくさん付いている株には、 「いい仕事したんだね」 と言いたくなるし、霜にやられて花になる前に枯れてしまったつぼみには、無念さを感じます。 ほとんどは花が終わっているのですが、時々、遅咲きのシャクナゲがピンクの花をつけています。白い霧の中、そこだけが、キャンドルの光のように、ほのかに明るく見えるのでした。
小雨の中でも、花摘みはけっこう楽しいものです。 広大な園の中を、シャクナゲに誘われてどんどん奥へと行ってしまいます。 枯れたシャクナゲの下には、たくさんのヤナギランの葉が生えていました。 夏になれば、一面、ラベンダー色のヤナギランで覆われることでしょう。
みんな、おしゃべりしながら、笑いながら、作業をしています。 昔の田植えや、茅葺きの吹き替えも、こんな雰囲気だったのではないでしょうか。
雨に濡れても、なんだか楽しいのは、みんなで一つの庭を作っている感覚があるからかもしれません。何度かお手伝いしているうちに、シャクナゲ園は自分の庭のようでもあり、みんなの庭のようでもあるという気がしてきました。手をかけた分だけ愛着が湧くというのは本当ですね。
今年は、シャクナゲが終わった後に来た人が楽しめるように、と造園業をしているSさんが、霧島つつじを50本、寄付してくれる事になりました。 その50本を植えているうちに、300本持っていけ、と本数が増え、最後には、いくらでも持っていっていいよ、という話になったそうです。 なんとも村の人らしい気前の良さです。こういう好意に支えられて、シャクナゲ園は大きくなったんだなぁ、と思います。
今年も無事に終わったシャクナゲ園、来年もまたきれいな花園を見せてほしいものです。
幻のベーコンフレンチトースト
うちから徒歩で15分ほどの所に「Bacon(ベーコン)」というお店があります。 去年までは、自家製ベーコンを使ったカフェをやっていて、駐車場には車が絶えない人気のお店でした。うちのヘルパーさん達にも、「バコン、バコン」と呼ばれて好評だったのですが、今年から、カフェを改造して、ベーコン専門店として営業を始めました。
カフェを辞めてしまわれたのは、私達にとっても、北軽井沢に来るお客さんにとっても、残念な事でした。
ベーコンさんのメニューの中で、ひときわ印象に残っているものがあります。 それは、厚切りベーコンの乗ったフレンチトーストです。
パン屋さんに行くと、甘くないフレンチトーストにハムやチーズなどをはさんだ、クロックムッシュウというパンが売っていますが、それとはまったく別の食べ物です。 誰もが驚くその違いは、ブラックペッパーの乗ったカリカリベーコンの上に、メープルシロップがたっぷりとかけられているところです。
このメニューはオーナーさんが考えたそうで、オーナーさん曰く 「僕は、メープルシロップはたっぷりが好きなんです」
ふしぎにおいしかったこのフレンチトーストが、もう食べられないのかと、残念無念に思っていました。 けれど、久しぶりにベーコンさんのホームページを見てみると、このフレンチトーストのレシピが載っているではありませんか。 これは、幻の味を復活させるしかない、とベーコンさんにベーコンを(くどい!)買いに行きました。
季節限定で売っていたイノシシのベーコンにも惹かれましたが、フレンチトーストの件を思い出して、ブロックのベーコンをひとかたまり買いました。 お店のお姉さんと二匹のコーギー犬に見送られて店を出、早速実験です。
詳しい作り方は、 ベーコンさんのホームページをどうぞ。
ホームページには、生で食べるとウィスキーのつまみに最高。と、あったので、まずはスライスして生で。 薫製のいい香りが広がって、塩加減もちょうど良く、大人のおつまみといった感じです。 もう、この時点で完成している食材という気がします。いくら、レシピがあるとはいえ、このおいしいベーコンにメープルシロップをからめてしまっていいものだろうかと、不安になりました。
まずは、ベーコンを切って、フライパンで炒めます。 びっくりするほど、油が出ます。スーパーで買ったベーコンとは比べものになりません。
そのベーコンの油でフレンチトーストを焼きます。パンは、元のメニュー通り、フランスパンを使いました。 ベーコンの味がしっかりしているので、厚めのフランスパンの方が合うようです。
フレンチトーストにじゅわじゅわ言っているベーコンを乗せ、ブラックペッパーもしっかりふります。そして、オーナーさんのポリシー通り、大量のメープルシロップをかけました。自分ではたっぷりのつもりだったのですが、写真で見るとまだまだですね。ベーコンさんのフレンチトーストは、皿全面がメープルシロップで埋まっているくらいに贅沢にメープルを使っているのですよ。
早速試食。 ベーコンの旨みとシロップの甘みが絶妙で、確かに数年前にカフェベーコンさんでいただいた味に近い気がします。
若い頃、周りの人から恐れられていた男が、意外にもかわいい奥さんと子供を持って、丸くなり、今では「あのダンナさんって素敵ね」と、周りの奥様方の噂になる。と、いった味がします。(なんだそりゃ)
ベーコンの野性味を、うまーくフレンチトーストとメープルシロップが包み込んでる、と言いたいのですが。 一見、合いそうにないものが、お互いの長所を引き出す役目をするということは、料理にも人にも言えることなのかもしれませんね。
夏の楽しみ ル・ボスケのシュークリーム
夏は、北軽井沢が一年で一番賑わう季節です。 宿屋にとっての8月というのも、何かと気合いの入る(入れなければやっていけない・・・)季節でもあります。 そんな忙しい夏ですが、仕事の合間に、ちょこちょこと夏の楽しみもあります。 ダンナさんが買ってきてくれる箱入りアイスを、お昼ご飯の後に一本だけ食べる事とか、蝉の声を聴きながら、つかの間の昼寝とか。
私の中でかなり大きなウェイトを占めている夏のお楽しみは、夏にオープンするカフェ、ル・ボスケさんのシュークリームを食べる事です。
うちから自転車で10分ほどの場所にある小さなお店なのですが、上品な奥様の手作りケーキがおいしいのです。中でもおすすめはシュークリーム。 注文すると、その場でクリームを詰めてくれるので、シュー皮のサクサクとした歯触りが楽しめます。
昔、デートに不向きな食べ物としてシュークリームがあげられていたのを本で読んだ事があります。その理由は食べづらい、という事。私も車を運転しながらシュークリームを食べて、酷い目にあったことしばしばです。
けれど、シュークリームには、ちゃんと食べ方があるのですね。 まず、シュー上部のフタ部分をちぎって、中のクリームをすくって食べます。そして、小さくなった残りのシュークリームを食べるときれいに食べられるのだそうです。 コンビニのふにゃっとしたシュークリームではそんな芸当は出来ませんが、ル・ボスケさんのシュークリームなら、最後までおいしく、美しくいただけるのですよ。 中身のクリームは、カスタードと生クリームが合わせてあって、甘過ぎず、バニラビーンズの香りも良く、あー、幸せ。なひとときです。
この日は、ブルーベリーのタルトもお持ち帰りしました。 さくさくのタルト生地に、新鮮なブルーベリーがあふれそうなほど乗っていて、食後には視力が確実に上がったような気がします。
そういえば、群馬県は全国で2位のブルーベリーの産地なのです。(一位は長野県)最近出た品種では、500円玉くらいの大きさの実がなるブルーベリーがあるのだそうで。そんなに大きいと、巨峰と見分けがつかないんじゃないかといらぬ心配をしてしまいます。
今回は時間がなくて、お持ち帰りをしましたが、時間があれば、是非オープンカフェでケーキをいただくことをお勧めします。 ル・ボスケは、小さい森という意味なのだそうです。その名前通り、緑の庭でいただくケーキは、ほっとできるひとときですよ。 おしゃべりじょうずなオウム? インコ?もお出迎えしてくれます。ちなみに、このオウム、生クリームを食べてました。なんと贅沢な・・・。
今年は、9月23日まで営業されるそうです。 定休日は火・水曜日 http://www.geocities.jp/cafe_le_bosquet/
嬬恋にヴィーガンカフェ開店
先日、国道144号を車で走っていた所、気になる文字が。 「びーがんかふぇ はぁとっぷる」 おおっ、とうとう嬬恋にもヴィーガンのお店が! 私は衝撃を受けました。
ヴィーガンというのは、ベジタリアンの厳密な形といいますか、純粋菜食者 完全菜食主義者の人達を言います。乳製品、蜂蜜等も含む動物性の食品を一切摂らず、革製品等食用以外の動物の利用を避ける人々なのだそうです。動物性食品を一切採らないということは、お味噌汁のかつおダシもダメということで、かなり材料を制限される料理というイメージです。
東京ならいざしらず、嬬恋のような田舎で、ヴィーガンを謳ったカフェがあるのは、驚きでした。嬬恋でベジタリアン料理が食べられるレストランといったら、今までは、「つまごい花壇」くらいです。それが、ベジタリアンのさらに上を行く、ヴィーガンのお店とは。
私自身は肉も乳製品も大好きですが、ヴィーガンの料理というものには、興味があります。早速、友人と一緒に行ってみました。
お店は、国道144号沿いのホームセンターコメリの向かい側にあります。8月下旬に開店されたばかりだそうです。 店先には、美味しそうなお野菜、お花、店内には、パンのコーナーと化粧品のコーナーもあります。店内でランチやパンもいただけるようになっていて既に女性のお客様がいらっしゃいました。
東京のベジタリアンレストランといったら、値段が高いイメージがありますが、こちらは、ランチが800円台とリーズナブルです。笑顔の女性が、パンをいろいろと出してくれました。 思ったよりたくさんの種類のパンがあって、それらはすべて牛乳や、バターなどは使っていないのだそうです。 チョコレートクリームや、ピーナツクリームの入ったパンもあって、どうやって作っているのだろう? と、興味津々です。ランチは、次回のお楽しみにして、今回は、アーモンドプードルの入ったパンと、ピーナツバターのパンを買いました。
さて、試食です。 食べてみると、手作りの優しい味がします。生地ももちもち、ふっくらしていて、バターが入っていないというのが信じられないくらいです。 生クリームや牛乳を使っていないクリームなんて、どんな味だろうかと、おそるおそる口にしましたが、このピーナツクリームがまたおいしいのです。 ヴィーガンの料理は、健康にはいいけど、味気ない。という私の先入観が吹き飛びました。
確かに、バターたっぷりのパンとは、風味が違いますが、はぁとっぷるのパンは、ここでしか食べられない味がしました。 お店の方に、 「ヴィーガンのお店なんて、珍しいですね」 と、話しかけたら、 「ヴィーガンという言葉自体、知らない人が多いと思いますが・・・。ここのパンは、動物性の材料は一切使っていないのです。けれど、卵なしでもカスタードクリームができるんですよ」 卵を使わないカスタードクリーム!? 興味はつきません。
残念ながら、この日は売り切れでしたが、次回はクリームパンと、ランチをいただきに来ようと思います。
浅間高原のめずらし野菜・そうめん瓜
近くでペンションのシェフをやっている方が、ある日、ラグビーボールのような野菜を持ってきてくれました。
「イノシシに食べられる前に、採ってきたから」
とのこと。イノシシも大好きなその野菜は「そうめん瓜」 初めて見ました。 どうやら、ゆでて、ほぐして食べるものらしい。 こういう時に、インターネットというものは便利ですね。検索すれば、ほとんどの野菜の下ごしらえから、レシピから、調べられるのですから。
どうやら、酢の物にしたり、マヨネーズと和えてサラダにするのが王道のようです。 早速、輪切りにしたそうめん瓜を、お湯でゆでて、水の中でほぐします。
すると、摩訶不思議な事に、瓜の中身がそうめん状にほぐれるのです。よく見ると、繊維が渦巻き状になっています。荷物を縛る、ビニールひもの形状です。 どうしてこんなことになっちゃったのでしょうか。
水から揚げると、鮮やかな黄金色です。 一つの瓜から大量のそうめんができるので、いろいろな味で楽しみました。 細切りのキュウリと一緒に酢の物にしたり、キュウリ+ハム+マヨネーズでサラダや、味噌汁に入れるのも変わっていておもしろい。
見かけは春雨のようですが、歯ごたえがシャキシャキしていて、食感好きの私には再びヒットの夏野菜なのでした。
珍しいので、最近出て来た野菜だろうと、お客さんにお出ししました。 すると、3世代で泊まりに来ていたおばあちゃんが、30年ぶりに食べたと言うではありませんか。昔は、たくさん作られていたそうで、懐かしい、とおっしゃっていました。 おばあちゃんは、糸瓜と呼んでいたそうです。 そうめん瓜という名前の他にも、そうめんカボチャという呼び名もあるそうで、瓜とカボチャって仲間だったの? と、疑問が生じてきました。
これまた文明の利器、インターネットで調べてみると、そもそもカボチャというのは、ウリ科カボチャ属なのですね。かぼちゃは、おおまかに言うと、日本カボチャ、西洋カボチャ、ペポカボチャの3種類があるそうです。 そうめん瓜は、ズッキーニと同じペポカボチャの一種。 ちなみに、ズッキーニは、イタリアで改良された野菜で、ペポカボチャの一種を若取りしたものだそうです。 ズッキーニって何語だろうと思っていましたが、なるほど、イタリアっぽい名前ですね。
この夏にいろいろと使わせてもらったズッキーニも、コリンキーも、そうめん瓜もかぼちゃ仲間だった事が判明しました。 どれも食感が良くて、鮮やかな黄色で、どれもかぼちゃに似ていない。 形状は個性的だけど、くせのない味で、何にでも合う。 ペポカボチャのような人に、私はなりたい。
と、思わせる何かが、ペポかぼちゃにはあります。
縄文人のゴミ拾い
「ゴミ捨て場に、ゴミ拾いに行きましょう」 と、先日がお誘いがありました。
ゴミ捨て場といっても、高級別荘が立ち並ぶ旧軽井沢の粗大ごみ捨て場でもなければ、ゴミの中から人々の生活を伺うなどという危ないゴミ拾いではありません。 今日、向かったのは、縄文時代のゴミ捨て場なのです。
歴史家の先生を囲んで、嬬恋の歴史をお勉強するという「浅間山ミュージアム」の呼びかけで、軍手に長靴の人達が、畑のあぜ道に集合しました。 嬬恋村にある今井という集落は、るるぶにも、観光マップにも載っていません。 ただ、うねうねとした畑に、動いているのはトラクターだけという辺鄙な場所です。 地元民以外は訪れないと思われるのんびりした場所が、実は、歴史的にみると、とてもダイナミックな舞台だったのです。
幼少の頃から、この近辺を歩き尽くし、郷土史も執筆されている唐澤先生が、杖で台地を指しながら言います。 「あれは、戦国時代の砦跡。こっちは、縄文時代の住居跡、向こうに見えるお墓のところには、横穴式住居の跡があります」
ぐるっと見渡した2キロ四方に、私には畑しか見えないけれども、先生には実にいろいろなものが見えているようです。 先生は、山と山の間の谷を指して言いました。
「春分の日に、山の間から、朝日が指すところが、あの鉄塔の下なんだけれども、そこは、縄文時代のシャーマンが住んでいた場所でした。私が昔、そこからいろいろな占いの道具を発掘しています」
おお。古代のシャーマンが住んでいたなんて、なんだかロマンチック。 春分の日にはじめの光が指す場所なんて、何かがありそう。 「送電線注意」という無骨な看板をつけた鉄塔でさえ、意味深に思えてくるのでした。
「で、この場所が、縄文人達のゴミ捨て場の跡です。ここで、縄文土器を拾ってみましょう」
拾ってみましょうと言っても、そこは、コンクリートの道と、刈り取られたトウモロコシの茎だけが残る畑です。 博物館のガラスケースに陳列されているような縄文土器が、ちょっと近所からやってきた一村民に見つかるものでしょうか。パワーショベルとかもっていないし・・・。
とにかく、畑に沿って黒土をのぞき込みます。 あるのは、数日前に降った雪と、大きな野生のタラの芽ばかり。 すると、畑で、Iさんが言いました。 「矢尻(やじり)があった」
え? もう見つかったの? Iさんの手の中には、親指の爪ほどのハート型をした矢尻がありました。矢尻というのは、黒曜石を削って作った弓矢の先につけるものです。縄文の人達は、それで鳥や動物を打ったのでした。
「見つけるコツはね、キラッと光るものを見つけること。土の表面をくまなく見ていくと、ほんのちょっと光るものがあるから」
Iさんのアドバイスを受けて、俄然やる気が出て来ました。 すると、土の中に、石にしては不自然な、平らな面のある石がありました。
「先生、これどうですかね」
と、鑑定をお願いすると、 「はい。これは縄文土器ですね」
おお。 縄文土器が、私にも拾えてしまいました。
「ここに、縄文時代のまな板があります」 まな板? 先生のいるあぜ道に集まると、地面にまな板ほどの大きさの石が置いてあり、その表面が真っ平らになっています。
「こうやって、人の手が加わっているものは、縄文の人が使った物です。この丸い石は、木の実などをすりつぶすのに使った石です。」
まさか、縄文人の台所セットが、こんな畑のあぜ道に転がっているとは、思いもしませんでした。先生の知識と探し出す目がなければ、ただの石としか思わなかった事でしょう。 今回は見つかりませんでしたが、石にたくさん小さな穴のあいているものを「はちのす石」と言い、縄文人が火起こしに使ったものだそうです。
畑の脇には、灯籠の屋根の部分が無造作に転がっています。これは、戦国時代にここで戦い、亡くなった人を葬ったお墓の一部だそうです。今では、お墓も取り壊されて、畑の一部となってしまいました。
先生のお話を聞いていると、はじめはただの畑だと思っていた場所に、たくさんの人達が見えてきます。 ここで、シャーマンが朝日に祈り、女性達が食事を作り、井戸の周りでは、村人達が祭りをし、砦では、武将達が戦い、真田道を通って、岩櫃城へ馬で駆けていく。この場所を通り過ぎていった、たくさんの人達の姿が浮かんでくるようです。
縄文人のゴミ捨て場には、キラッと光るものがたくさんありました。 黒曜石のかけらです。 黒曜石は、この辺りではとれず、一番近い所では、和田峠でしか採れなかったものなので、自然にここに黒曜石があるわけではないのです。古代の人達は、和田峠から、黒曜石を運んだことでしょう。
途中、雨が降ってきたので、2時間ほどのゴミ拾い、というより、宝探しは終了しました。 帰りがけに、先生が6歳の頃、おじいちゃんと一緒に採ったというたくさんの宝物を見せてもらいました。 矢尻あり、石斧あり、石庖丁あり、土器あり、当時の今井では、こういうものがたくさん拾えたそうです。
今回の宝探しもたくさんの収穫がありました。 水で洗ってみると、Iさんの拾った土器の破片には、きれいな渦巻き模様が、くっきりとついています。 先生によると、土器の模様や形にも、時代ごとの流行があるそうです。 これは、色がついている、彩色土器と呼ばれるものでした。光にかざすと、中に入っている雲母がキラキラ光っています。
「これは凝ったものですから、おそらく祭事用だと思います。4000年くらい前のものですね」 「じゃ、シャーマンが使っていた占いグッヅでしょうか」 「そうかもしれませんね」
おお。 4000年前と言えば、キリスト誕生から今までの時間の2倍経っているということです。 山や川は、何千年も前からあるけれど、そこに、何千年前の人の痕跡はあまり感じられません。 けれど、この土器の渦巻き模様からは、4000年前にだれかが、この土器に刻み、できばえを眺めて、特別の儀式に使ったものという気配が感じられました。
今回のお土産にと、透き通った矢尻と、シャーマンの土器をいただきました。
歴史は苦手分野だった私ですが、歴史を好きになる入り口は、こんなところにあるのかもしれない、と思いました。 歴史嫌いを歴史好きにさせてくれた唐澤先生は、本当にいい先生です。 できることなら、子供の頃、お会いしたかった。そうなれば、もっと私も歴史に詳しくなっていたかもしれません。
けれど、いくつになっても、どこに住んで、どんな生活をしていても、学ぶ楽しさは、ころがっているものなんだな、と感じたのでした。それを発見する方法を教えてくれた先生に、感謝です。
2008年09月03日
浅間高原のなつかし野菜・まくわ瓜
最近、瓜づいている私。 野菜の直売所に行くと、珍しい野菜がないかと目を走らせます。 トウモロコシだの、茄子だの、予定していた野菜を持って行くと、レジの横に黄色い物体が。
「なつかしい味・まくわうり」
とあります。
お、これも昔良く作られていたものなのかな、と思い、
「これは何ですか?」
と、聞いてみました。
お店のおじさんが言うには、
「昔はメロンって言って食べてたよねー。皮むいて、種取ってそのまま食べるんだよ」
ふーむ、野菜というより、フルーツに近いものらしい。 珍しいもの、昔のものに弱い私は、1つ買ってみました。
切ってみると、確かにメロンのような小さな種とワタが入っています。 中身はけっこうしっかりとしていて、ほんのり甘い。 サクサクとした歯ごたえは、梨のようでもあるし、後味は、確かにメロンです。
まくわ瓜は、30年ほど前にはフルーツとして良く食べられていたものだったそうです。 が、まくわ瓜とスペインのメロンをかけ合わせたプリンスメロンが出てくると、こちらの方が甘いので、まくわ瓜はほとんど作られなくなってしまったそうです。
私は学校給食にプリンスメロンが出た世代ですが、確かにプリンスメロンに近い味がします。 50代くらいのお客さんに出したところ、
「これ、食べたことある。年がばれちゃうね」
と、言っていました。
また別のお客さんが言いました。
「昔あった、口が曲がっちゃうくらいすっぱーいみかんを、時々食べたくなるんだけど、もう売ってないんだよね」
りんごも、甘い品種ばかりが作られるので、アップルパイを作るのに適した、酸っぱいりんごが手に入りづらくなっていると聞きます。
まくわ瓜を食べてみると、確かに、大方の人達は、より甘い、より柔らかいプリンスメロンを買うだろう、そしてまくわ瓜は廃れていくだろうという想像ができるのです。 けれど私は、まくわ瓜には、プリンスメロンにはない、美味しさがあると思います。歯ごたえと、さっぱりした甘さが、夏のデザートとして喜ばれたのではないでしょうか。
日本では、ほぼ廃れてしまったまくわ瓜ですが、韓国ではまだまだ現役で食べられている夏のデザートなのだそうです。 韓国映画や、テレビドラマでは、時々、まくわ瓜が出てくるのだとか。 ちょっと嬉しいですね。
食べ物は、いろいろな価値観があるなぁ、と思います。 一般的には、甘い方、柔らかい方が求められますが、逆に、シンプルにしてゆく事が価値になる場合もあるのではないかと思うのです。
このケーキは、濃厚なバターと卵を使ってます! という事が価値を上げる場合もあるし、逆に、 このケーキは、バターと卵を使わないで作ってます! という事が、価値を上げる場合もありますよね。 まくわ瓜には、ある人にとっては、思い出や、懐かしさ。 私にとっては古いものの新しさ、という付加価値があるように思えます。
まくわ瓜そのものの味だけではなく、まくわ瓜の周辺に漂う何かが見えてくると、また違った美味しさを感じられる気がするのです。
来るか紅白 BLUE TRIKE
昨日は、温泉ツアーを、急遽、クリスマスコンサートに変更し、楽しい夜を過ごしてきました。 温泉をよく利用させてもらっているホテル1130さんで、クリスマスライブが行われるとのこと。 生歌を聴ける機会はなかなかないので、北軽井沢ブルーベリーYGHのお客さん、Tさんと、ゴージャスな夜を過ごしてまいりました。おほほ。
ホテル1130は、昔、会員制のホテルだっただけあって、お部屋も広い、豪華ホテルなのです。 普段はなかなか足を踏み入れる機会のない、ラウンジ(カウンターの向こうで、バーテンさんがシャカシャカとカクテルを作ってくれて、グランドピアノが豪華さをさらに演出しているようなところ)でライブは行われたのでした。
出演者はBLUE TRIKEという23歳の若人3名のグループ。 ボーカルの女性と、ピアノ兼ボーカルの男性と、ギターの男性。 若いけれども、人前に何度も立って、自分達を表現してきた人のオーラを感じました。 クリスマスらしく、マライアキャリーや、ジョン・レノン(ジョンは軽井沢に滞在してましたしね)のクリスマスソングが出て来て、気分は一気にクリスマス!
彼らは、虹の七色にちなんで、7枚のシングルCDを発売する予定だそうです。 2曲目の「SNOW
WHITE」という曲が気に入りました。 雪の結晶がきらきら落ちていくようなピアノの音で、これからの季節にぴったり。 ピアノを弾くお兄さんの後ろ姿にもうっとり。 1時間ほどのライブの後、CD販売会、サイン会となりました。 本当は、12月24日に発売のはずのCD「SNOW
WHITE」が、販売日前に売っていたので、購入。 ブルーベリーさんへ。と書いてもらいました。 メンバーの皆さん、自ら握手の手を差し伸べてくださるほどフレンドリーで、お客さん一人一人を大事にしているんだなぁ、ということが伝わってきました。こうやって、少しづつ地道に、ファンを増やしていって、いつかは紅白の舞台に立つのですね。
会場にはギターを弾いていた青年のお母様も来ていました。お母様は、同行したTさんに、言いました。
「結婚式の時には、BLUE TRIKEを呼んでください。演奏しますから」
おお。母の愛。 しかし、残念ながら、Tさんも私も既に既婚者。
「2回目の結婚式には来ていただきますね」
と、不穏な事を言う私でした。 なぜか、ギター青年のお母さんとも握手して、アットホームなライブは終了しました。
普段、テレビを観ない私は、久しぶりに今時? のミュージシャンの歌を聴いたのでした。 先日、 「最近、はやりのラブソングがまったく身にしみてこない」 という書き込みに深く共感した私でしたので、彼らの歌はどうだろう? と、ちょっとドキドキしながら彼らの歌を聞いていたのです。 けれど、彼らの歌は、 「20年経っても一緒にいようね」 というような、日常の中の小さな幸せを歌っていました。地に足のついた歌といいましょうか。 これなら、私も入ってゆけると感じる歌でした。
司会の人曰く、 「数年後には、テレビに出てくるはずの人達です!」 と、言っていました。そんな気もします。 がんばれBLUE TRIKE。 紅白出場の際には、みんなで観るからね。
豆生活とパンダ丼
クリスマスが終わると、次はお正月ですね。 クリスマスは数ヶ月も前から、町もお店もテレビも 「来るぞ来るぞ」 と、待ちかまえているのに、お正月はたった6日間しか脚光を浴びないような気がします。なんだか不公平。 いや、それは、目の前のことにしか目がいかない私の性格のせいかもしれませんが・・・。 クリスマスの翌週にはおせちを食べてしまう変わり身の速さも、日本人ならではかもしれません。
お正月と言えば、黒豆。 ここ嬬恋村は、豆の産地でもあります。 一番有名なのは、KING OF BEANS・花豆。
標高の高い嬬恋産花豆は、サイズが大きく、ヒッチハイカーの親指ぐらい大きいのもあります。 甘煮にすると、ほくほくで、和菓子を食べているような感じです。
大豆や黒豆といった、スタンダードな豆はもちろん、ちょっとめずらしい豆も作られています。 「モロッコ」というのは、夏にさやごと食べる大きなモロッコインゲンから採れる豆です。 茶色い外見と、モロッコという響きが、遠くアフリカの砂漠を思い起こさせます。 「青豆」は、名前の通り、青みがかった豆で、ひたし豆として食べます。
数ある嬬恋の豆の中でも、今個人的ブームとなっている豆が、「パンダ豆」です。 これは、豆がパンダの目のように、黒いぶちになっているのです。
正式名称は「鞍掛豆」 馬の背に鞍をかけたように見えることから、そう呼びます。 味が海苔に似ているということで、別名「のり豆」とも言います。
このパンダ豆、嬬恋でも見かけることは珍しく、貴重な豆なのだそうです。 一晩水につけて、翌日、15分ほど煮て、醤油をかけて食べます。 ごくごくシンプルな料理なのですが、堅めの枝豆のような歯触りと、確かに海苔のような後味が残って、不思議にやめられない味なのです。 太り気味が気になるお父さんにも。スープに入れたり、サラダで食べるのも合います。
私は、一人ごはんの時にパンダ丼を作ります。 丼にご飯を入れて、レタスと水菜をちぎって乗せ、その上に醤油漬けのパンダ豆、浅漬け、にしんの煮物、冷凍しておいたそぼろなど、まぁ、冷蔵庫に残っているものなら何でも乗っけて、できあがりです。 食欲のない朝でも、さっぱりヘルシーに食べられますよ。
クリスマスで少し西洋に傾いた体と、重めに傾いた体重をもとに戻すため、日々せっせと豆生活を送ろうと思います。
お正月三昧
皆さん、あけましておめでとうございます。 北軽井沢ブルーベリーYGHも、年末年始のお客様がお帰りになり、一息つきました。 おそらく、今頃は会社で
「あけましておめでとうございます」
と連呼されている事でしょう。 ブルーベリーに来てくださった皆さん、ありがとうございました。 忙しくも、楽しい年末年始でした。
ブルーベリーでは、毎年恒例で、元旦に、おせちをお出ししています。 年末年始はいつもあわただしくて、
「あー、年越しだなぁ」
と、実感する余裕がないのですが、一年に一度の栗きんとんを作っていると、年の瀬気分になりますね。
年越しは、紅白を観ながらお茶会をして、紅白の最後の歌手が出てくる頃に、初詣に行きます。 今年も、3大宗教初詣ということで、公平に神社、お寺、教会を回りました。
その間、私は片付け兼、お留守番なのですが、11時55分からの5分間は、片付けを中断して、行く年来る年を観ます。 この最後の5分間というのは、もうなんだか後がないというか、もうどうしようもないというか、意味もなくそわそわしますね。 で、0時を迎えると、なんだか空気も改まって、一新されたような気がするから不思議なものです。
夜の2時に帰ってきたお客さん達とお茶を飲んで、遅めの消灯です。 皆さん、翌朝の6時半には初日の出ツアーという、強行スケジュール。お疲れ様でした・・・。
元旦のデザートは、お正月バージョンにしました。 牛の顔は和菓子です。 牛の他にも、梅や松、うさぎの形をしたものなどいろいろな種類があるのですが、牛は一つだけなので、年男のSさんに食べてもらいました。 どれも、食べるのが勿体ないくらいきれいに作ってあって、和菓子の繊細さを感じますね。
おせち料理は日持ちを良くするため、レシピ通りに作ろうとすると、動揺するくらい、砂糖が入ります。 ですが、うちでは、作った翌日に食べてしまうので、お砂糖はかなり減らしています。 黒豆も薄味で、栗きんとんの砂糖は半分以下。それでも十分甘いのですよね。 数年前は、黒豆に釘を入れ忘れて、あずきのように色が薄くなってしまったのですが、今回は釘2本でつやつやの黒色が出ました。 お正月の料理は、いつもより大変ですが、縁起物と言われるおせちは、一つ一つに日本人の願いが込められているようで、作っている方も、楽しいのです。
埼玉でOLをしていた頃は、出されたものを、ただぱくぱく食べていましたが、宿の仕事を始めてから、料理に季節感を出す事に興味がわくようになりました。 考えてみれば、今までも、料理から季節を実感していた事が多かったのだな、と思います。 12月にイチゴのケーキを食べれば、
「あー、クリスマス」
と思いますし、8月にスイカを食べれば、
「あー、夏休み」
と、思います。 4か月毎に、季節の変化がある日本の料理人は、常夏の国の料理人より、恵まれているのではないでしょうか。 というより、おもしろいのではないかと思います。 季節毎においしくなる食材があって、季節毎に風景が変わってゆく。 自然に、お皿の中にも、季節の断片が盛り込まれてゆきます。
おせち料理で幕をあけた2009年。 今年はどんな料理を作ろうかな。
皆さんにとっても、良い年でありますように。 今年も宜しくお願いいたします。
幻のハチミツと出会う
直売所めぐりが趣味な私にとっては楽しい夏がやってきました。 直売所というのは、夏から秋頃まで、道路際のちょっとした屋根のあるスペースで、自分の畑で採れた野菜などを販売する、野菜のガレージセールのようなお店の事です。 マクドナルドもスターバックスもない北軽井沢ですが、この時期、直売所は、それこそマクドナルド並みの頻度で出没するのです。
農家さんやそのご家族がそのまま店番をしている店ばかりなので、農家さんならではのお話しが聞けたりして、スーパーとは違ったおもしろさがあります。
取り扱っている商品は、大体、どこのお店でもおいてあるキャベツ、大根、ジャガイモあたりはおなじみの顔ぶれ。
が、農家さんによっては、ちょっと変わった野菜を作っている所もあって、新顔野菜との出会いがまた楽しいのです。 きゅうりでも、とげとげを全身にくっつけた鎌原きゅうりや、巨大なトウガラシ(あまり辛くない)があったり、地元のおばあちゃんが作った手芸品を置いていたり、自家製のジャムや漬け物、ハチミツを売っている所もあります。
うちから車で10分ほどの直売所・ファミリーさんは、自家製ハチミツを売っていると噂に聞いていたのですが、去年は、行こうと思っているうちに、閉店になってしまいました。 そんなに大量にとれるものではないですから、お盆の頃にはもう売り切れてしまう事も多いのだそうで、今年こそは、と思い、行ってきました。
笑顔がステキなお姉さんが店番をしていました。 聞くと、彼女のお兄さんが養蜂をやっているのだそうです。 そこに並んでいるのは、まさに、国産・嬬恋産のハチミツ。
栗やアカシアのハチミツに混じって、 「日本蜜蜂のハチミツ」 というのを見つけました。
日本の養蜂で使われるのはほとんどが西洋ミツバチです。 日本ミツバチは、数も少なく、臆病なので、なにか変化があると、わーっといなくなってしまう、というのを聞いたことがあります。 体が小さいので、蜜も少ししか採れないのだそうです。
ファミリーさんの栗とアカシアのハチミツは、西洋ミツバチでとるそうです。 種類を変えるのにも理由があって、西洋ミツバチは、偵察役の蜂が8の字ダンスを踊って、仲間に花の場所を教え、栗なら栗の一種類の蜜だけを全員が集めてくるそうなのです。
が、日本ミツバチは、それぞれがてんでばらばら、好きな花の所に飛んでいって好きな蜜を集めてきます。 その結果、百花蜜という様々な蜜がブレンドされたハチミツになるそうです。 日本ミツバチでハチミツを採ると、様々な花の蜜がブレンドされたハチミツになるので、特定の花の名前がつけられず、
「日本蜜蜂のハチミツ」
としか言いようがないとのこと。 日本ミツバチ達がどんな花の蜜を集めるかは、彼らの気分次第。 咲いている花の割合も、年ごとに違うので、ワインの味が年ごとに違うように、同じハチミツにはならないのです。
量産はできませんが、日本ミツバチのハチミツの方が、西洋ミツバチのものより、栄養があるそうです。 そういう幻がかったハチミツなので、日本ミツバチのハチミツは、西洋ミツバチのハチミツの3倍の値段がしていました。
ただでさえ貴重なハチミツですが、クマに1発パンチをくらわされて台無しにされてしまう事も度々あるそうです。 自然相手の仕事は大変だなぁ、と思います。
何しろ、1匹のミツバチが一生の間に働いて作るハチミツは、たったティースプーン1杯分しかないのです。 なんというか、もう、頭が下がりますね。
頭をさげつつ、栗のハチミツを買ってきました。
栗のハチミツは試食があったのですが、栗だけ試食がある理由がなんだかほのぼのしていました。
「兄貴は栗のハチミツが嫌いなんです。独特の香りが嫌なんだそうで。他のハチミツは文句なしにおいしいから試食はなくても大丈夫だけど、栗は嫌いな人がいるといけないから」
と、いう理由で栗のハチミツだけ試食があるのだそう。 それを聞いて、ほんとうに丁寧な仕事をしている人というのは、こういう人なんだろうなぁと思いました。
お兄さんは苦手だそうですが、栗のハチミツはとてもおいしかったです。 今度はぜひ日本ミツバチのハチミツも食べてみたいなぁ。
嬬恋の新顔野菜・アイスプラント
先日、良く行く農産物直売所に寄ったところ、何やら珍しいものが並んでいました。
「アイスプラント」
とあります。 最初、洗ったばかりで水滴がついているのかと思いました。 表面が、透明で、キラキラ光る氷の粒のようなもので覆われています。
なるほど、それでアイスプラントかぁ、と思い、どうやって食べるのか、直売所のおじさんに聞いてみると、そのまま洗ってサラダにすると言います。
「うちでも、今年から作り始めた珍しい野菜だよ。こないだ、テレビで銀座で売ってるって話してたけど、この値段の倍してた」
ほぉほぉ、銀座のOLに人気と。
おじさんの言ってない事まで想像しながら、こりゃ、食べてみなければ! と、一つ買い求めました。 早速、その日のお客さんのサラダに添えてみました。
葉を一枚食べてみると、肉厚で、しゃりしゃり、プチプチした食感が新鮮です。 苦みもえぐみもなく、食べやすい野菜でした。 何よりその外観の珍しさから、お客さんも不思議がっていた様です。 自分が作ったわけではないですが、ちょっと嬉しくなりますね。
後から調べてみると、アイスプラントはなかなか変わった習性をもつ野菜でした。
原産国の南アフリカでは、土壌の塩を吸い取らせる為にこの植物を育てていたそうです。 驚くほど強い植物で、乾燥に強いだけでなく、何と、海水と同じくらいの塩水の中でも育つそう。 その秘密は、表面にあるキラキラ輝く細胞にあります。 この細胞は、体内に侵入した塩を隔離する働きがあるのです。 この表面の細胞に塩を閉じ込めてしまうわけですね。 なので、アイスプラントは、既に塩味がついているドレッシングいらずの野菜なのです。
塩味がついている、ということを知ったのは、既に食べてしまった後だったので、あまり気がつかなかったのですが、性質だけでもおもしろいこのアイスプラント、また、銀座OL気分で、食卓に上らせたいと思うのでした。
ル・ボスケの手作りケーキ
ブルーベリーから車で3分。 季節限定オープンのカフェ「ル・ボスケ」に行ってきました。 ここは、小さいながらも、花がたくさん植えられていて、お庭も素敵なのです。 オープンカフェのテーブルが特等席ですよ。
去年は、生クリームを食べていた、よくしゃべるインコ、ぴーちゃんも元気そうでした。
私が行ったのは、8月の半ばだったので、定番のシュークリームは売り切れていましたが、栗のロールケーキがあったので、お持ち帰り。 生地はしっとりふわふわ。 角切りの栗がココア生地とよく合います。
こちらはブルーベリータルト。大粒のブルーベリーが満載です。 バイトさんらしきお姉さんが粉砂糖をふりかけてくれました。 この日はなんと4人もお店の方達が! 皆さん、大学生くらいの女の子達です。 高原で、花に囲まれて、お茶と手作りケーキを出して・・・ 私もこんなアルバイトをしてみたかった。と思うのでした。
今年は、パウンドケーキと一緒に、マカロンも並んでいました。 マカロン好きの私としては、見逃せません。 ココナッツが入っていてサクっと軽い歯触り。 紅茶によく合って、ついつい食べ過ぎてしまいます。
ル・ボスケさん、今年は9月の連休(23日)までの営業です。 定休日は火曜日・水曜日。9/22.23は営業しています。 次は定番シュークリームを食べに行こうっと。
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