北軽井沢ブルーベリーYGHユースホステル マネージャー日記

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草津・吾妻

ちょっとマニア向け。草津熱帯園

温泉で有名な草津に熱帯園があると聞いたとき、なぜ山奥の温泉街にワニや、バナナやサボテンがあるのか! と不思議でした。
 
冬でも暖かい伊豆や沖縄には、バナナワニ園や熱帯園があってもおかしくありません。
しかし、ここは標高1000メートルを超える草津。
冬ともなれば、ワニはあまりの寒さに冬眠し、バナナで釘が打ててしまうに違いありません。
  
熱帯植物園

 けれども、熱帯植物園を取材させてもらって、私の疑問は氷解しました。この熱帯園は、豊富に湧き出る温泉の熱を利用して大ドームの中を暖め、年中無休の南国を作り出しているのです。なるほど、温泉街に熱帯園というのも立派なつながりがあったのですねぇ。

まず、高さが15メートルもある大ドームに潜入します。丸天井のドームは、ちょっとしたサーカステントのような雰囲気。
それにしても暑い。夏でも涼しい高地に住んでいると、この迫ってくるような重さを持った空気が懐かしい気持ちにさえなります。

バナナやマンゴーが実をつけ、ハイビスカスの赤い花の隣には、イグアナがお昼寝中。ワニは置物のように、口をあけたまま固まっています。なんだかどこでもドアを開けて、知らない国に来てしまったような錯覚に陥ります。

 個人的には、「旅人の木」と言われるオウギバショウに感動しました。この木はとにかくばかでかい木で、うちわのような形をしています。根元を切ると水が吹き出すので、のどがかわいた旅人が、この水を飲んで休むのだそうです。
「旅人の木」というロマンチックな名前に、どんな木なんだろう? と長年思っていましたが、その巨大さと存在感に圧倒されてしまいました。

 植物の他にも様々な動物がいます。この熱帯園の品揃えというか、動物の選び方には、通をうならせるものがあります。ミーアキャットや、エミューなどは、小さいお子さんも楽しめるかわいさです。

そして一時期世間を騒がせ、今はどこへ行ったのか誰も知らなかったウーパールーパー、エリマキトカゲもここにいました。
映画「ファインディング・ニモ」で一躍スターダムにのし上がったカクレクマノミもいます。

 けれど、この熱帯園の本領発揮はこれからです。実は、この熱帯園、は虫類の種類では全国で一番なのだそうです。それだけに、ヘビのコーナーは大きなスペースを占めています。ここでは白ヘビを是非見ておきましょう。白蛇というのは、昔から神の使いとされています。白い蛇は、突然変異などで、体の色素が無い状態の蛇で、大変珍しいものです。

生きた白ヘビ様のケージの前には、5円や10円玉が並べてありました。うーん、日本人のDNAがなせる技でしょうか。

そういえば、東京ディズニーランドに行ったとき、シンデレラ城の池の中にもお賽銭がたくさん沈んでしました。ご利益好きな日本人か、それとも、ここで恋人同士がコインを投げると幸せになるという噂でも流れたのでしょうか。

 それにしても、緑あり、オレンジあり、蛇というのはこんなにカラフルなのかと、驚きましたね。中には、暑いのか、水を張った桶の中にロープのようにぐるぐると身を沈めているものまであります。これが庭先にあったら、あまりの自然さに、誰も蛇だとは気がつかないでしょう。

 大ドームの外では、猿山のサル達が遊んでいます。時間によっては、お猿のショーも見られるらしいです。ファミリー向けの施設かと思っていましたが、実は、かなりディープなスポットでもあったこの草津熱帯園。温泉でぼんやりした頭をさらにトリップさせるにはうってつけの場所ですよ。

草津バスターミナル〜徒歩l5分
営業時間
l2月〜3月 8:30〜17:00(年中無休)
4月〜11月 8:00〜17:00


りんごのお花見

新緑の季節。
一気にいろんな花や新芽が芽吹いて、ついついお出かけしたくなります。最近は、ホームページの写真撮影にかこつけて、花の写真を撮りに行っています。

昨日は、水上に向かう途中のりんご畑の花が満開で、瑞々しい美しさでした。
  
リンゴ1リンゴ2

果樹園というのはなんだか西洋風な響きがあって、憧れますね。「みかん畑」とか、「梅畑」なんていうと、日本の里山風景を想像してしまうのですが、「りんご畑」にはなんだかヨーロッパの田舎の様な雰囲気を感じます。


 りんごの花をじっくり見たのは実は初めてでした。桜の花を大きくしたような花で、桜と違って、葉と花が同時に出ているので、緑が相まって実に爽やか。青空と若葉の緑と淡いピンクの花、どの色も、見ているだけで気持ちがリフレッシュされるようです。
りんごの花言葉は、「最もやさしき女性に」。愛らしくて、それでいて包容力のある姿は、最も優しい人にふさわしい花ですね。カーネーションよりも母の日の花にふさわしいのではないかと、個人的に思います。

 りんごと言えば、子供の頃から親しんできた果物ですが、種を庭に捨てるとそこからまたリンゴの木が生えてくるんじゃないかと思ってせっせと庭にまいた記憶があります。

つがる・ジョナゴールド・ふじ・紅玉・陸奥など、りんごには、色々な品種がありますが、食べたりんごの種を植えても、そこからは全く違ったりんごができるそうです。なんだか不思議ですよね。理由が分かったら、また書き込みます。



来るか? 道祖神ブーム

オタクの教祖と言われているみうらじゅんが、
「今年は道祖神がはやる」
と、断言していた。
 私はそれから1年ぐらい、道祖神ブームの到来を待っていたが、今のところ兆しも見えない。

しかし、田舎にいると世間の動きがわかりづらいものだ。実は、
「自宅のベランダに道祖神を置くと金運UP!」
 
道祖神

などと、Dr.コパあたりが女性週刊誌にそんなことを書いて、東京では、道祖神人気は着々と上がっているのかもしれない。そこで、インターネットで、ここ30日間に「道祖神」を検索した人の数を調べてみた。
13件。
ブームが来ているにしては少なすぎる・・・。

嬬恋村や、お隣の長野原町は、道祖神が多い。道祖神とは、村の守り神として道端や、分かれ道などに、佇んでいる男女の像だ。別名「アベック地蔵」などというあまり似合わない名前で呼ばれていたりする。
五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を祈願する最も身近な神として昔から、村の人たちに親しまれていた。地味ながらも、ほのぼのとした存在である。
 癒しがはやっている近頃、この道祖神はもっと注目されてもいいのではないだろうか。

ところで、なぜ私が道祖神ブームを待っているのかというと、今しか見られない道祖神がこの周辺にあるからなのである。

国道145号線沿いにある川原湯渓谷。
ここは、数年後にはダムに沈んでしまう由緒ある温泉街だ。温泉街に連なる川原湯渓谷は、春は新緑、秋は紅葉の美しさで知られている。この不動の滝に向かう途中に一体の道祖神がある。

 一見、何の変哲もない道祖神に見えるが、その傍らには
「標高586メートル」
というずいぶん中途半端な数字の標識が立っている。
この、586メートルというのは、今後出来るはずのダムの最高水位なのである。数年後、八場ダムが本当にできてしまったら、この道祖神のところまで水が入ってくるはず。

もともと、道祖神の意味は、村の辻や境にいて悪霊が入ってくるのを防ぐという役割を持っていた。
もしかしたら、八場ダムの建設者は、この道祖神をダムと陸地の境界に置くために、最高水位を586メートルという中途半端な数字にしたのではないか?
 
私にはどうもそう思えて仕方がない。




天空のホビット庄を訪ねる

昨年は、紅葉が特に美しい時期でした。朝起きて天気が良いと、一日ごとに紅葉が深まる気配にじっとしていられず、北軽井沢周辺を走り回って写真を撮りに行ったものです。
 
 その中でも、一番の発見は、小高い丘から眺める紅葉の谷でした。

ナナカマドの赤と草原の緑の斜面の下には、小さな湿原がありました。
赤い屋根の小さい山小屋が湿原の真中にぽつんと建っていて、金色のカラマツとほんわりした色あいの白樺が所々に立っています。
 
その、山に囲まれた小さな平地は、野生のまっただ中にあって、そこだけおだやかな人たちが住んでいる神聖な土地にも思えました。
 
ちとう

その芳が平という湿原に、半年後の6月、やっと訪れることができました。

入り口は、草津・志賀高原道路という、ライダーさん憧れの道路です。
道路と言っても標高1800メートルほどの高地に、山を縫うように道が走っています。道沿いの岩肌からは、草津白根山が作り出した白いガスが吹き出していて、「駐停車厳禁」の看板に、山の荒々しさを感じます。

白根レストハウスに車を置いて、とうとう、憧れの小さな土地に向かいます。

岩の上にある鳥居にお参りをし、6月だというのにまだ雪渓が残る道をどんどん下ります。
途中、真っ白に立ち枯れた木が、まっすぐ空をさして立っています。木は竜巻にでも遭ったようにねじれ、枝の曲がり方も不自然で、見えない敵の攻撃に耐えているようです。
見上げると、砂漠をそのまま山にしたような、木も草もない山がそびえています。
そんな風景の中に身を置いているとだんだん自分から、現実感が抜け落ちてゆくのを感じます。

 厳しい風景の中を抜けてゆくと、突然、視界がひらけ、赤屋根の山小屋と、平らな草地が現れました。そこは、私の好きな映画、
「ロード・オブ・ザ・リング」に出てくる、小さな人たちが住んでいる平和な村「ホビット庄」のようでした。

今にも木陰で本を読んでいたフロドが飛び出して来そうな気配です。
私はホビット庄を訪れる魔法使いのガンダルフの目で、草地を見下ろしていました。

 そこからは、湿原を回ります。
湿原には、池塘と呼ばれる小さな池がたくさんありました。池は、この小さな土地にふさわしく、一人の釣り人がそこへ座ったら、この池全体が自分のものだと感じられそうな小ささです。
水面を揺らすのは、アメンボの丸い軌跡と、水鳥について流れていく水の模様だけです。

湿原の真ん中から見渡すと、山の斜面から滝が落ちているのが見え、山のてっぺんには、秋に私が立っていた展望台がかすかに見えました。
私が夢中で見下ろしていたホビット庄の中に私がいる。
その展望台に昔の自分が立っているような気がしてきました。

 インディアンの人たちは、誰でも、家族にさえ打ち明けない秘密の場所があると言います。
自分が自然の一部のようになり、自分の魂だけになれる場所。

この小さな湿原の訪問は、この世にはいない誰かからの「自分の場所」への招待だったような気がするのです。



マイナス8度の男達

本日、私は朝の4時半にこそこそと起き出して身支度をはじめました。
ダウンジャケットの上には雨合羽。
下には、現金書留の封の部分のような何重もの重ね着。
足には長靴。
手には手袋。
外気にさらされている部分は、目深にかぶった帽子から、かろうじて出ている目玉くらいのものです。
ビニール袋に入ったカメラを持った私の姿は、着込みすぎの強盗。

湯かけ1


私達3人の乗った車は、さびれた温泉街に入ってゆきました。
細く、曲がりくねった道の端に車を駐め、マイナス8度の静寂の中を歩いてゆきます。

すると、遠くから人の叫び声が聞こえました。
急がなければ・・・。
私達の足が速まります。

近づくにつれ、叫び声は男達のうなり声に変わりました。

「ウォーッ!!」
「イァーッ!!」

言語化困難な大声に導かれて、私達はかがり火の焚かれた舞台に到達しました。
そこでは、神主さんと、巫女さんが、玉串の奉納をしているところでした。

今日は、川原湯温泉の「湯かけ祭り」が行われるのです。
舞台の真下からは、牢獄につながれた猛獣のような雄叫びが、湯煙と共にわき上がっています。

湯かけ2

そして、舞台の上には、ふんどし一つの男性が3人。
1月20日の大寒の朝5時といえば、一年で一番寒い時期の一番寒い時間なわけです。
その中で、ほぼ素っ裸で身動きもせず立っている男達。
私に負けず劣らず強盗風な服装をした観客達が、彼らを尊敬のまなざしで見つめます。

赤ふんどしの背の高い男性は赤組の大将。
白ふんどしの男性は白組の大将。
紫ふんどしのがっちりした体格の男性は総大将です。
ふんどしに縫い取られた「総大将」の文字が金色に輝いています。
彼らは、大きな木の桶を持つと、お湯を奉納するために、舞台を後にしました。

すると、地下牢の猛獣達が姿を現しました。二、三十人もの男達が雄叫びを上げながら総大将に続きます。
よく聞くと彼らは

「お祝いだー!!」

と、言っているのでした。
川原湯温泉は、昔、お湯が出なくなったときに、鶏が鳴いて卵を産んだところを掘ってみたら、再び温泉が湧き出てきたという伝説があります。
それにちなんで、

お湯が湧いた→おゆわいた→お祝いだ

の、かけ声になったのだそうです。
ふいに、オレンジ色の物体が、頭上をかすめました。
その隕石のような物体は湯気をあげて空中を飛び交っています。

「いてっ」

私の頭に激突した物体は、みかんでした。
温泉につけたみかんを、縁起物としてお客さんに投げているのです。
「冷凍みかん」なら新幹線のホームで時々見かけるけれど、「温泉みかん」があるのは、川原湯温泉くらいのものでしょう。
みかんと日本酒と、なぜかコンニャクゼリーが配られると、赤組、白組の男達が戻ってきました。

湯かけ3

「湯かけ」のはじまりです。
「湯かけ」は、2箇所の源泉からそれぞれの木桶に汲んだお湯を、相手の男達と観客にぶちまけるのです。
会場となる王湯の前の道路は、細い一本道なので、逃げ場もありません。ここでは、観客もずぶ濡れ覚悟です。
テレビカメラも、ビニール袋とレインコートで武装しているものの、全身くまなくお湯まみれです。
取材されていた俳優さんも、真っ正面からお湯を浴びていました。
道端の赤いポストも、今日はふんどしとハチマキを巻かれてお祭り仕様です。

湯かけの参加者には、小さい子供も、今風のおにいちゃんも、おじさんも、様々な世代がいます。
手練れのおっちゃんの湯かけは、実に見事で、放射状にはなったお湯はもうもうと白い湯気をあげながら、観客の上にまんべんなく降り注ぎます。
小さい男の子達もおじさんに

「気合い入ってるかー!」
「おぅ、もっと声だせー」

などと言われながら一生懸命、お湯をかけています。

湯かけ4

川原湯の子供達はこうやって男になるのだな、と、頼もしくなりました。
寒くて大変そう、と思いきや、湯かけの男達はみんな楽しそうです。
銭湯でのお湯のかけ合いっこを、町全体でしているようで、おじさんも、お兄さんもいたずらっ子の笑顔になっています。
そんな彼らと一緒にお湯をかけられると、私達も、なんだか楽しくなってくるのです。

2箇所の源泉のお湯を、汲みつくした頃、空は漆黒から群青に変わり、明け方が近づいてきました。
赤組、白組の男達が全員、湯おけを持って中央に集まってきます。

男達の頭上には、赤と白のくす玉がぶら下がっています。

「いくぞー!」

総大将のかけ声と共に、くす玉に向かって一斉にお湯がかけられました。

湯かけ5

ぼわん、と大きな湯気が立ち上ります。

「ケーッケッケッケ」

湯気の中から聞こえる甲高い声。
煙の中から突き出された手の中には、目を白黒させたニワトリがいました。

お祭りが始まる前からぶら下がっていたくす玉の中には、生きたニワトリが入っていたのです。
落ちてきたニワトリを、先に捕まえた組が勝ち、というのが湯かけのルールなのでした。
手の中でコケコケ泣いていた二羽のニワトリは、舞台上のカゴに入れられると、おとなしくなりました。

それにしても、あんな狭いくす玉の中で、よく鳴きもせずに我慢していたものです。
ニワトリもえらいですが、それを素手で(おまけに裸で)捕まえた男達もえらい。
ニワトリはなかなか凶暴な鳥で、つっつきの破壊力はかなりのものです。私は逃げたニワトリの捕獲を手伝ったことがありますが、かなり手強い相手でした。

最後の締めは、総大将のかけ声で、

「お祝いだー!!」

の三本締めです。
総大将、かっこよすぎでした。
確か、3年連続で総大将をつとめている人なのですが、何しろふんどし姿しか見たことがないので、もし、どこかで会っても気がつかないでしょうね。

一年に一度しか会えないなんて・・・。
遠い目になる私でした。

湯かけ6

川原湯温泉の人達は、一年に一度、お父さんや息子の勇姿を見ているのでしょう。
そういう家庭はどんなことがあっても、力を合わせてがんばってゆけるのではないかという気がします。

川原湯温泉は、現在、ダムを造る計画が進行中です。
数年後には、この情緒あふれる温泉街も水に沈んでしまいます。
数十年にわたる反対運動や、様々な思惑に翻弄され、廃業する温泉宿や店も出て来ました。
それを寂しく感じていたのですが、湯かけ祭りでは、川原湯温泉の人達の底力と団結力を、肌で感じました。

あたたかい甘酒をいただきながら上着を見ると、レインコートについたお湯の粒が、氷になっています。

後、何回湯かけ祭りを見られるだろう?
この温泉街が昔話になったとしても、川原湯の子供達は、自分たちのお祭りを忘れないだろうなと思ったのでした。





知られざる将棋台帝国

先日、みさと梅林に行ってきました。
先週行った秋間梅林でも梅を堪能しましたが、みさと梅林は規模がすごい! 
 山と空のさかい目まで、あわあわと梅の花が満開で、白い海のようです。

みさと1



梅祭り会場では、ざるいっぱいの梅干しのタネと、ブロックと金槌がありました。
金槌でタネを割ると、中から干しぶどうのような
「梅干しのタネのタネ」
が出てきます。
食べてみると、梅味の干しぶどうのようで、なかなかおいしい。
こんな食べ方があったのですね。

おみやげ屋さんをひやかした後、梅林を散歩します。
地面には、緑の草の合間にコバルトブルーのオオイヌノフグリや、藤色のホトケノザが群生になっています。
子供の頃、一緒に遊んだ、なじみ深い春の野草です。

梅林の中に、引き出しがついている箱が並んでいました。大きさからいうと、将棋台のようで、背の低い腰掛けのようです。

あの引き出しには、何が入っているんだろう? 
近づくと、箱の下に小さな四角い穴が空いています。
そこから、小さな物体が飛び出してきました。

ミツバチです。
たくさんのミツバチが小さな入り口から次々と出入りしています。

みさと2

「あ・・・ミツバチの巣箱」

引き出しを開けなくて良かった。開けたら、ミツバチ達の一斉攻撃を食らうところでした。
よく見ると、巣箱は等間隔に、10個ほども並んでいます。

以前、お客さんで、熊野の養蜂家(蜂を育てて、蜂蜜やロイヤルゼリー、ロウ蜜などを採る仕事をする人)の方がいらっしゃいました。

「うちの蜂たちが作った、山のはちみつです」

と、天然物の蜂蜜をいただきました。
上白糖のぼったりした甘みとは、全く別の種類の甘さです。
口に入った上品な甘さが、すーっと消えていくようなすっきりした味なのです。
日本で出回っている蜂蜜の93パーセントは、外国産なのだそうです。国産の物も、養蜂家からの直販などがほとんどなので、デパートに100本の蜂蜜を売っていたとしたら、国産のものは5本くらいだそうです。

ますます山のはちみつがおいしく感じられてきます。

養蜂家の方は、蜂の生態をいろいろ教えてくれました。

「養蜂家は、自分の蜂たちと一緒に、花のあるところへ旅する生活を送るのです」

なんだか、ロマンを感じます。
現代の遊牧民みたいですね。

養蜂は、畜産業に分類されるそうです。
牛や豚を飼うのと一緒で、蜂は家畜の扱いなのだと聞きました。

蜂は家畜なので、場所を変える前には、蜂が病気にかかっていないか、保健所の検査を受けなければなりません。そうしないと、他の場所の家畜ミツバチに病気を移してしまう可能性があるのです。

昔は、蜂が作った巣を探し、巣を壊して、蜂蜜を採る、というクマのプーさん方式で蜂蜜を採っていたそうですが、近代の養蜂では、人が用意した巣箱の中に、女王蜂1匹、働き蜂2〜3万匹ほどの蜂帝国を作らせ、遠心分離器で蜂蜜を採る方法に変わったそうです。

あの将棋台1つに、3万匹の蜂が! 
引き出しを開けずに良かった、と心から思いました。

将棋台の中の蜂帝国は、女王蜂の特性によって、おとなしい帝国になったり、凶暴な帝国になったりするそうです。
凶暴な帝国に、大人しい女王蜂を入れると、たちまち平和に大人しくなったりするといいますから、トップの影響力は甚大です。

ちなみに、養蜂家の飼っている蜂たちは、イタリアからやってきた西洋ミツバチです。
蜜もよく集め、繁殖力も優れ、多少の変化にも動じないというイタリア的なおおらかさを持った蜂なのです。

日本ミツバチはどうしたのでしょう。
明治の末から大正のはじめ頃までは、日本種ミツバチが飼われていました。
この日本種ミツバチは性格はおとなしいのですが、神経質でちょっとした刺激で、巣を捨てて、さーっと逃亡してしまいます。
養蜂にはあまり適していなかったそうです。
何だか蜂の世界にも国民性が感じられますね。

みさと3

それにしても、あの小さいミツバチが一匹一匹蜜を運んでいるなんて、考えてみれば、地道な作業です。
甘味料が、化学的に大量生産される事を考えれば、はちみつは、究極のスローフードに思えます。

一匹のミツバチが花の蜜を運ぶ、一回の量は、0.05gだそうです。
私がぺろっと食べてしまった小さじスプーン1杯の蜂蜜を集めるには、少なくとも100回、ミツバチが蜜を運ばなければなりません。
おまけに、巣の中に蓄えられた花の蜜は、蜂の羽で風を送って水分を蒸発させ、蜜の濃度を濃くするので、実際にはもっと必要でしょう。

お米一粒には88人の神様が宿るといいますが、スプーン一杯の蜂蜜には100匹のミツバチの働きがいるのです。

何だか、気が遠くなってきますが、そこは、中華人民共和国的な人海戦術でカバーしています。3〜5万匹の一群が集めた花の蜜は、最盛期には1日2.5kg位になる事もあるそうです。

蜂には、外回りの営業をする蜂と、内勤の蜂がいます。
営業蜂はせっせと花の蜜を集め、巣の入り口に持っていきます。
すると、内勤の蜂が、口移しで蜜を受け取り、巣の中に保存します。
蜂が集めてくるのは、花の蜜であって、蜂蜜ではありません。

花の蜜が2回、蜂の体を通る事で、蜜は分解されて蜂蜜になるというのです!
蜂は、自らの体を蜂蜜の製造工場にしていたというから驚きます。

内勤の蜂は、貯めた蜜に羽で風を送って、乾燥させ、蜜の濃度を濃くします。
内勤の蜂も、営業の蜂も、働き蜂は全てメスです。

オスは何をしているかと言うと、蜜集めもせず、毎日遊んで暮らしています。
オス蜂の役目は女王蜂と交尾することだけです。
それも最強のオスのみが交尾できるのです。
しかも、最強のオスはその場で死に、選ばれなかったオス達も、働き蜂達に巣から追い出され、エサももらえず、のたれ死ぬという、遊び人の末路のような最後を迎えます。

白い梅の花にとまっては巣箱に帰るミツバチたちを見ていると、そんな厳しい社会があるとは想像しがたいものです。

蜂たちは、蜜集めをさぼる事なく、一心不乱に立ち働いています。

そんな蜂たちが作った梅の蜂蜜、どんな味がするのでしょう?
無数の蜂さん達に感謝しながら、味わいたいものです。


草津ねこ

草津猫1

台風一過の晴れ間の中、久しぶりに草津に行ってきました。
草津は車を置いて、路地裏を歩くのが楽しいのです。毛細血管のように細くて曲がりくねった道が、湯畑を中心に至るところにあります。
古びた公衆浴場に立ち寄ったり、小さな飲み屋の入り口に、貝塚のようにホタテの貝殻が積んであるのは、何のおまじないかと思いながら歩くのも、また風情がありますね。
あてもなく歩いているうちに、最近立て替えた公衆浴場「地蔵の湯」の前に出て来ました。

入ってみると、着替える場所の1メートル先がもう湯船です。
ふらっと入って、さっさと着替えて、あちっと入って、出てくるまで約5分。
駅のキオスクで牛乳を一気飲みするような簡潔さと爽快感。
粋な町です。

地蔵の湯

私は細くて曲がりくねった道にぐっとくる人間ですが、新緑の季節ともなると、四方八方から柔らかい葉が伸びていて、とても気持ちがいいのです。
そして、曲がりくねった小道には、猫が似合います。
北軽井沢は冬が寒すぎるせいなのか、民家が少ないせいか、あまり野良猫を見かけません。けれど、草津は野良猫が生きられる環境のようで、ときどき野良猫の姿をみかけます。
おまけに、今日は、台風一過の雨上がりです。
動物写真家の岩合光昭さんによると、猫も雨が上がるのを待って出てくるのだそうで、猫写真を撮るには、雨上がりがねらい目らしい。

視界を横切るものを目で追っていったら、二匹の猫がいました。
新緑の緑と、つつじの鮮やかさと、野良がかった猫の姿が絵のようで、私はカメラを構えました。
すると後ろから、

「えっ、何? タヌキなのっ? あんた、タヌキ撮ってる?!」

と言うおばちゃんの声が。

「いえ、太った猫です」

と言ったら、

「いやー、あんましでっかいから、タヌキだと思っちゃった!」

こういうおばちゃんに出会えるのも、草津の味わいでありましょう。

草津猫2



女子力アップの「ティールーム ゆきうさぎ」

ゆきうさぎ1


どうして図書館の隣には、カフェがないのでしょうか。

北軽井沢に引っ越した当初は、田舎の最大の欠点は、図書館が小さいことだと思っていました。
けれど、調べてみると、小さいながらもなかなか落ち着ける図書館がたくさんあることに気がつきました。
一番近くの嬬恋図書館には、あと5歩くらいがんばって欲しいのですが、軽井沢図書館と、草津図書館は愛用しています。
どちらも小さいながらも新刊図書も入るし、草津においては、貸し出し冊数の制限がないという素晴らしい図書館です。

常々思うのは、図書館の隣に、落ち着いて本が読め、おいしいお茶とケーキが食べられるようなカフェがあったら、繁盛するだろうに、という事です。
本好きと、カフェ好きの人々は、かなり層がかぶっていると思います。
それに、本好きの人達は、一刻も早く、借りた本を読みたいのです。
ありがたいことに、図書館は全国どこでもタダですから、読みたい本を借りられた幸せな本好き達は、お茶代くらい気持ちよく払いましょう、という気持になっています。

私の通っていた学校は、神田の古本屋街の近くにありました。
ずらりと並んだ本屋の奥や、脇道には、隠れ家のような喫茶店がかならずあったものです。
古本屋街を愛している友人や、先生達には、必ず1つや2つ、お気に入りの喫茶店がありました。そこで買ったばかりの古本を読むのが、無上の楽しみという人が少なくありませんでした。

軽井沢には、素敵なカフェがたくさんありますが、国道沿いにある図書館の近くには、歩いていけるようなカフェはありません。
温泉街の真ん中にある草津の図書館は、周辺にたくさんのお店がありますが、多くは温泉饅頭や、舞茸そばなどがメインの、観光客向けのお店ばかり。
カフェと呼べるようなお店は少なかったのです。

けれど、今日、まさしく、図書館の隣にあって欲しい素敵なカフェを見つけてしまいました。
草津で見つけたお店、「ティールーム ゆきうさぎ」です。

ゆきうさぎ3


私にとって素敵なカフェというのは、お茶やケーキがおいしくて、居心地が良く、センスのいい空間があるということです。
ここは、まさにそんなカフェでした。
湯畑から歩いて2分ほどという立地の良さにもかかわらず、外観は目立たず、商売っけをまったく感じさせないさりげなさ。
しかし、一歩店内に入れば、木目が柔らかい感じのくつろげる雰囲気です。
一言で言えば、女子力がアップされそうなカフェ。

嬉しいことに、ケーキやスコーンはすべて手作りとのこと。
お茶も、通常の3倍の茶葉を煮出して作るミルクティーや、ハニージンジャーティーなど、飲んでみたくなるメニューが一杯です。
食事メニューはないのですが、トーストなどの軽食もありました。

ゆきうさぎさんが、軽井沢にあったら、自然な風景として流してしまいそうですが、それが、草津の真ん中にあるということに衝撃をうけます。

お店の方に、ここはできたばかりなのですか? と、聞いてみました。

「皆さん、よくそうおっしゃるのですが、4年半経っています」

とのこと。確かに、車では通らない路地にある店ですし、派手な看板も、のぼり旗もない(すばらしい!)お店ですから、ほとんどの人は気がつかずに通り過ぎてしまう事でしょう。
カウンターに積みあげてある焼きたてのスコーンの色に惹かれて、スコーンとミルクティーを頼みました。

スコーンの載っているお皿も、女子力をあげてくれそうなかわいらしさです。
スコーンは、ほろほろと溶けるような感触で、生クリームとマーマレードを添えて食べると、また違った味わいです。
スコーンと言えば、スターバックスにあるような、しっかり、がっしりしたものを想像していましたが、ゆきうさぎさんのスコーンは、手作りの、優しい味がしました。


ゆきうさぎ2


ミルクティーは、ポットで出してくれます。
2.3杯はたっぷり入っていて、スコーンとミルクティーだけでお腹いっぱいになります。
他にも、スパイスや、ナッツの入ったミルクティーもあるので、寒い日に飲んだら、体がぽかぽかになりそうです。

女性だけでなく、おいしいもの好きの男性にもすすめたいカフェです。
温泉めぐりの途中で、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

★手作りのお菓子紅茶とコーヒーのお店 
ティールームゆきうさぎ
http://www16.ocn.ne.jp/~y-usagi/
定休日 木曜
営業時間 10時〜17時
群馬県吾妻郡草津町草津81中央通り商店街
tel&fax. 0279-88-3345




個人的慰労会・草津 ゆきうさぎ

ゆきうさぎ


ゴールデンウィークによく働きました慰労会を、私一人でこっそり開催してしまいました。
OLさんなら、自分へのご褒美と言うのでしょうか?

場所は、草津図書館とセットの至福コース、「ティールーム ゆきうさぎ」さんです。
ここは、手作りケーキと濃厚ミルクティがおいしいカフェなのですが、とても草津の中心街にあるとは思えないくらいのセンスのいい、あたたかな空間なのです。

今回は、ベイクドチーズケーキと、ヘーゼルナッツフレーバーのミルクティを頼みました。

ここの濃厚ミルクティは、通常の3倍の茶葉を使っているそうで、ナッツの香りとほのかな甘みで、ほっとするおいしさ。
3杯は飲めるポットでたっぷり出てくるのですが、ティーコゼ(ポットにかぶせて、お茶が冷めるのを防ぐもの・写真の茶色い布のものです)も出していただきました。

ゆきうさぎ2


ティーコゼなる物の存在は知っていましたが、使うのは初めて。普段、ポットで紅茶を入れる事もあまりなく、それをティーコゼで保温するほどゆったりとお茶をする余裕もない日常を送っているので、こういうゆとりグッヅがなんだか嬉しいのです。
それにしても、お茶道具には、なくてもいいけど、あると嬉しいもの、というのがたくさんありますね。
中国には、お茶の香りをかぐためだけにある茶碗「聞香杯」がありますし、以前、紅茶専門店で紅茶のポットと一緒に砂時計が出されたのも新鮮でした。

ベイクドチーズケーキも、ほのかに檸檬の後味がして、ミルクティーにはぴったりでした。

お店に置いてある本を手に取ると、密かに目標としているターシャテューダの本がありました。
ターシャは、アメリカのバーモントですばらしい庭を作りながら、昔風の生活を続けた絵本作家です。

おいしいお茶とケーキと本と、ゆっくりした時間。
うーん、贅沢です。

帰り際に、カフェのオーナーさんに、

「以前、ブログでうちの事を書いていただいてましたよね?」
と言われて驚きました。

ゆきうさぎさんは、お祖父様の持っていたお店を改装して、お母様と二人で、カフェをはじめたそうです。

ケーキの事を尋ねると、ケーキにいろいろと入れるのが好きではないので、自分がおいしいと思ったものを作っているとのこと。

華美ではないけれど、しっかりとおいしい、ゆきうさぎさんのケーキの秘密はそこにあったんだなぁ、と思いました。これからもおいしいケーキを作り続けて欲しいです。

カフェの雰囲気そのものの、素敵なオーナーさんでした。

カフェを作り上げている人と、カフェそのものが一致しているお店というのは、素敵なところが多いといつも思うのですが、ゆきうさぎさんは、まさにそういう所です。

また、ほっとしに、立ち寄りたいと思います。

〒377-1524 群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原1506-12 北軽井沢ブルーベリーYGH

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